『きょ、今日ですか?』
(ちっ、聞き返すなよ)
昨日の17時から本日8時までで外来患者は計7名。うち救急搬送は3名だった。
あの患者とはその3名のうちの1名。
福田定一、52歳男性
もともと糖尿病と高血圧でこの病院に通院中だった。糖尿病とはその名のとおり、尿の中に糖が出てしまう程、血糖値(血液中の糖の濃度)が高くなってしまう病気である。この病気はいろいろな原因で起こるが、肥満などですい臓からインスリンという血糖を下げるホルモンの効きが悪くなることでおこる2型糖尿病が多い。
この患者も身長は166cmであるが体重90kgとかなりの肥満である。さらに高血圧も合併している。ラーメン好きだ。
昨日PM11:30に突然の前胸部の痛みを感じ来院した。心電図をとってみると明らかに心筋梗塞を疑わせる心電図だった。
医師でない方は『
医者の1日』をどれだけ知っているでしょうか?
医者の家族、友人、Co-medical(コメディカル; 医師以外の医療従事者)、MR(製薬会社の営業担当)でも実態はあまり知らないかもしれません。
もちろん、医師によって、専門科によって生活はまったく違います。
うーん、何を書くか。
何が言いたいか。医者の1日を知ることによって、患者サイドの医者への誤解が解けることを期待しているのかな?
まぁ、取りあえず書いてみる。暇なら読んでみて。
松崎雅臣、39歳。独身。都内某T大学病院勤務の循環器内科医。
専門は虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞のこと; 血液が足らないことを虚血という)である。
AM6:50
『ふぅー』雅臣は気合いを入れ直すように、大きな溜め息をついた。
『松崎先生、きのうの当直きつかったですね』岡田昇は医師3年目、研修医あがりだ。
少し前まで強く射す日差しを避けるように、自然に足が日陰に向かっていたが、今はもうその強烈な日差しはなく、心地いい朝焼けが広がっている。もう10月だ。
いつものことだが、昨晩は一睡もできなかった。
雅臣は自動販売機でHOTかCOLDか迷いながら、HOTのブラック缶コーヒーを2つ買い、岡田へ向かって放り投げた。
『ありがとうございます』岡田は朝焼けに目をやり、一気に飲み干した。(この時期のHOTはあまり熱くない)
これからまた、夜中まで勤務であることをしばし忘れているようだ。
『あの患者、どう思う?』雅臣は岡田を試すように聞いてみた。
『あのVT(Ventricular tachycardia; 心室頻拍; 不整脈の一種で血圧を下げ命にかかわることもある)の人ですか?』無邪気とも言える答えだ。
(VTが問題なわけじゃない。今後の血行動態が問題なんだよ。)雅臣は心でつぶやいた。
『そう。今日はどうする?お前が主治医だよ』
つづくか!?
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『日本人の40%は血圧が高め』なんてCMが流れている。さらに『日本人40%のメタボリックシンドロームである』なんかニュースで特集を組まれている。
正直、微妙...。
あなたはこれらを聞いてどう思いますか?『寿命』が延びることを頭に思い描いたなら、それ見当違いかもしれない。
たしかに高血圧やメタボリックシンドロームを改善すれば、『平均寿命』は延びるかもしれない。
しかし医者がみているのはもっと手前で、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患、脳血管疾患を主とした合併症の発症なんだ。
もちろん、心筋梗塞や脳梗塞で多くの人が亡くなっているのは事実。
しかし、直結はしてないんだなぁ、寿命と医療は。
わっかるかなぁ、わかんねえだろうなぁ。
そもそもあなたの『
寿命』は分からない。
私の『余命』も分からないのだ。
寿命を延ばすということを確実に遂行することは誰もできない。そこを本気で考え医療に接しなければ、とんでもない過ちを犯すことになる。
とか、マジメに言っても誰の興味もそそらないのは知ってるよー。
『
平均寿命』くらい知ってるよね?一応2003年のOECDデータでみると、日本人は長生きだね。
何でこんなに生きているの?男性78.4歳、女性85.3歳。
保健制度にもかかわるので一概には言えないが、平均寿命はある程度の医療水準の国なら1人あたり保健医療支出とは相関ははっきりしない。つまり金出せば長生きできるわけではないようだ。
医者がみているのは5年生存率改善だったり、合併症の予防だったりするわけで『
寿命』
自体をみているわけではないんだよ。本当は。
だって分からないから。
これは非常に重要なこと!それにまつわる小話でもしようか?とも思ったが、面倒だから止めとくか。
続く、かもしれない。
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